奄美を感じる /フォトエッセイ 水車(みじぐるま) /海の幸、山の幸
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海の幸、山の幸
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11月の奄美は、芽吹いたばかりの瑞々しいススキの穂が風にそよぎ
秋の訪れを告げていた。
赤い岩肌を覆い尽くすそれは、強い北風にサワサワと揺れ、白い毛皮のようにさえ見えた。
太陽が出れば、日の光はまだまだ熱く、半袖で十分だ。南の島であることを実感する。
11月半ばの夕暮れに、住用に住む叔父が、川カニを持ってきてくれた。
唄にも詠われた「住用のガン」である。久しぶりに見るその姿に、しばし見とれた。
爪の毛が、とても見事で、雄々しい。
この時期の食べ物であったことも、もう忘れていた。
「鷲(さしば)が鳴いたらカニが川におりてくる」と、叔父は教えてくれた。
川ガニとか、モズクガニという名で呼ばれているが、叔父のシマではマガンとか、タカガンともよばれるらしい。
「住用のガンといわれてるけど、大島の川だったらどこにでもいるよ」と叔父が話す。
サシバが鳴き、ガンは川を降りて海へ向かう。
まず、雄のガンが川を降り始め、つづいて、雌が降りるという。
そして産卵が始まる。そのころ河口には、餌となる卵を食べようとボラが待ちかまえている。
孵化したカニは、また、この川を上って山には入るのだが、途中には、滝もあれば、いろんな障害が待ち受けている。それでも、カニたちは山の奥深くに居所を見つけ、成長とともに川を下り、海での産卵という営みを繰り返すのだ。
その恩恵に、私たちも与(あずか)る。
それが、奄美の自然な生き方でもあった。
山には、シマミカンが黄色に色づき、鳥たちが集う。
そのついでに、私たちも、シマミカンを頂いていた。店先に並んだシマミカンが懐かしく、買ってみた。皮を剥いたときの、何とも言えない芳香が、鼻孔をくすぐる。
今年は、例年にない台風の当たり年でもあったので、山に食料が無くイノシシたちが畑を荒らすという被害も出ている。ミカンの出来も、よくないらしい。
カニたちも、痩せている感じだった。
それでも、細々とではあるが、昔ながらの生活が続いていることが嬉しかった。
山に感謝し、海に感謝し、食べるための食料を頂く。
幼い頃の、そんな暮らしが懐かしく思い出された。(2004.11.28記)
撮影地:旧58号線から立神を臨む
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